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専業トレーダー DaTsU

保ち合い放れ

今週は保ち合い(もちあい、と読んで下さい)を放れた後、放れる時の事を
述べた部分を解説します。保ち合いの放れは「ダマシ」も起こりやすく、注意
が必要だと思うのですが、本間宗久はいったいどのように見ていたのでしょう
か。保ち合いの放れは「もうはまだなり、まだはもうなり」を地で行くような
そんな感じが強いと思います。      
       
 「右保ち合いの時、少々下げ目になる時、かねて売り方の人は図に当たると
心得、なおなお売り込み、買い方の人もここぞと売り逃げかえって売り過ぎ致
す心になり、我先我先と売り込み候故、なおなお下がるなり、この時買うべし、
きわめて利運なり。はなはだ買にくしきものなれども、買うべきなり。数年の
ものも、後悔多し。通いの商いは十俵高下を的にし手早に見切る事第一なり。」
      

 「保ち合い相場が下げ気味になると前から売り建てていた人は『思っていた
通りになった』と思い売り乗せをしてくるし買い方は見切売りに出て、さらに
ドテン売りに我先に売り込んできてもっと下がるものである。こういった時に
買うのが良く、とても儲かるものである。非常に買い難い状況ではあるが買う
べきである。長年やっていても後悔するような状況なのだが買うべきである。
保ち合い商いは十俵を目処に早めに利食うのが一番である。」という意味で、
保ち合いの時は上限、下限に達するとそこから抜けてくる、今度こそは抜けて
くると思うものであり、案外高値掴み、安値売りをしてしまうものです。逆に
まだ「ボックス」だろうと思うと案外抜けてきたりするもので、「まだはもう
なり」「もうはまだなり」という事が非常に良く分かります。いずれにしても
「ボックス」相場の時は早めに利食うか早目に損切るべきです。「見切り千両」
「利食い千人力」です。極めて明確なトレンドが発生しない限り、この事は言
えると思います。      

 「大高下も過ぎ、天井値段後、相場保ち合い、上げか下げか見合いの時、何
となく上方相場など含み、少々景気付き候時は人々買い気になり、騒ぎ立つほ
ど上がるものなり。その節、決して売り場なり。これは通い相場にて、あげて
は下げ、下げては上げ、過分の高下もなく、幾度も通うものなり。右人気と通
いの相場に心を動かさず、天井と底とを考うること第一なり。但し、大高下も
なく、保ち合い、自然とおき上がる米は売らざるものなり。段々買い重ねるも
のなり。これは通い相場にはこれ無く、自然と起き上がる相場なり。」   
   

 「大きく上下した相場も過ぎ、天井をつけたあともみ合い、上に抜けるか又
下落するのかといった状況の時、センチメントが何となく上向きになって皆が
買い気も増して、急に上がる時がある。その時は絶好の売り場となる。あくま
でもこれは『ボックス相場』と考えるべきで、上げては下げ、下げては上げ、
何度も上下するものなのである。こういったときは目先の人気(=センチメン
ト)だけで動かずに常に天井と底を考えながら動くことが第一である。ただし、
大きな上下もなく、狭い範囲での保ち合いのあと、じりじりと下値を切り上げ
るようなときは決して売ってはいけない。この場合は押し目買いに徹するべき
である。これは単純な『ボックス相場』ではなく、下値切り上げ型の動きで上
がるべくして上がるもので、自然と上昇していくものである。」
 これも第一の文章と同じような意味で、抜けてくるだろうといった思惑が働
き、皆が皆、抜けると思ったように動いたときは得てして逆に行くものである、
というような意味と考えられます。また、「ボックス相場」だと思っていると
下値を切り上げるような右肩上がりの相場となり、上値を抜けたところが天井
になり、下がると思った水準まで下がらないといったことも起きてくるので、
しっかりと天井や底を見極めることが大切であると言うことです。また、もみ
合いの範囲が狭い時は一気に上放れることもあり、底堅さが確認された後にこ
ういった状況になるときは市場参加者のコンセンサスが出来ていないだけに逆
に意外高となることも多いのではないでしょうか。ここでも「相場は人為的に
動くのではなく、自然に(必然的に)動くものである」ということがいえるの
ではないでしょうか。

 ※保ち合い相場(=ボックス相場)というのは「高値圏で売り、安値圏で買
えばいいので簡単だ」と考えがちですが、得てして、高値を待っているとそこ
まで届かず、下値で買いの指値をしているとその水準まで下がらないといった
ことがよくあります。また、逆に抜けた、と思って買いつくと買ったところが
天井であったり、天井を買ってしまったと思い慌てて投げたところが底値にな
ったりもするものです。今の相場がトレンドを持っているのか、まだ保ち合い
の中なのか、良く見極める必要がある、ということでしょう。 



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